滋賀県のある依頼者談

私の父は三年前にバイクによる交通事故で亡くなりました。享年42歳という若さでした。
夜勤からの帰り道、見通しのよい交差点に進入した際、対向車線から右折してきた車に衝突し、救急車ですぐ病院へ運ばれましたが、2時間後に亡くなりました。助かってほしいという気持ちも裏切られ、父は家族の目の前でこの世を去りました。しかも対向車の運転手は80歳を超える高齢者で、その高齢者は「信号は右折可能の矢印が出てたので右折した。対向車のバイクは赤信号のはずだから信号無視したのはそっちです。」と警察の事情聴取で父に過失があるように話していたのを聞いて愕然としました。父は生きている頃から「事故だけには気をつけろ」と何回も私たち家族に言っていたのを今でも覚えています。その父がなぜ信号無視をして交差点に進入しなければならなかったのか。しかもバイクで事故を起こせば怪我では済まないことは誰にでもわかります。そんな自殺行為をする理由など到底ありません。ましてや事故から1ヶ月半後に私の結婚式が予定されていたので、なおさら納得できる供述ではありませんでした。

そして事故から2ヶ月後、義兄に相談したところ、知り合いに弁護士がいるとのことで紹介をしてもらいました。弁護士と話し合いをした結果、「供述は明らかに加害者側が有利になるような内容である。裁判で真実を明らかにし、亡くなったお父さんのために勝ちましょう」と言っていただき、裁判をする決意をしました。

しかし、裁判が始まり話し合いを進めていく中で、事故時の信号の色が争点となり、関係者や通報者から話を聞きましたが事故時の信号の色を見た人はおらず、有力な情報は得られませんでした。ある日弁護士から連絡があり交通事故鑑定のエキスパートである綾田先生の紹介をしていただき、今回の事故の鑑定をしていただくことになりました。綾田先生は「亡くなったお父さんのために真実を明らかにする事故の鑑定をさせてもらいます」とおっしゃっていただき、事故現場の検証、信号サイクルでの青信号の割合、関係者を交えての事故の鑑定をしていただき、裁判に勝てる一筋の希望を持てました。そして判決の日、裁判官が読み上げた内容は私達の期待を大きく裏切る形となりました。「過失割合85対15」と裁判官が読み上げ、私達は敗訴しました。後日、裁判所から届いた判決書を読むと、加害者の供述は不可解な点もなく十分信用性がある。逆に原告の提出した準備書面は物的証拠として認められない。との内容でした。私達は大きく落胆しました。

ですがこのままでは亡くなった父が報われないと思い、高等裁判所への控訴を決意しました。高裁の裁判官は地裁の裁判官と違い、この交通事故に関して大変親身になって話し合いをしていただきました。裁判官は加害者が80歳を超える高齢者であること、事故直後の加害者の行動が不可解な点など、加害者の供述が100%信用出来るものでない。逆に被害者は42歳という若さで一家の大黒柱であること、信号無視をする理由が明確にないこと、バイクで事故を起こした時の生命の危険性など、この交通事故裁判でしっかり話し合いをしなかった地裁、加害者側、被害者側を一喝しました。そして2度話し合いをした中、綾田先生にも再度意見書を書いて頂き、鑑定人から見た事故の痕跡に関する意見、被告側の提出した準備書面に誤りや不整合が多々あることや供述内容で不自然な点が多いことなど様々な意見を書いていただいた結果、最終的に50%対50%で相手保険会社と和解することが出来ました。裁判に勝つことは出来ませんでしたが、お互い納得した形で裁判を終えることが出来ただけでも一歩前進だと感じています。

裁判から約2年、相手に過失を認めてもらえたことで、亡くなった父も納得して成仏できると思います。私達の傷はまだまだ癒えませんが、これからは残された家族で父の分まで頑張っていこうと思います。綾田先生は私達のために全力で事故の究明をしていただきましたし、生きる希望の光を与えていただき大変感謝しております。長い間ありがとうございました。