乗用車と歩行者の接触事故

平成26年に新潟市で発生した事故では横断歩道を渡ろうとした少年がたまたま通過中の乗用車に接触したとされる事故で、運転者は接触などに気づかずにそのまま走行したらひき逃げとして逮捕され拘留された。この事故の論点は警察が当該車両の側面からシリコンラバーで採取したとする形の間隔と少年が着用していたジャンパーの布目間隔が一致するとの鑑識鑑定が示された。そこで、現実に衝突が成り立つかを調べた鑑定を求められたことから少年が着用していたジャンパーと同じものを入手して電子顕微鏡で拡大した文様と一般的なジャンパー4着を同率拡大で対比するとほぼ同じ文様であることが明らかとなり、シリコンラバーで採取したとする形が布目痕としても少年が着用していたジャンパーにより付けられたとする「固有の整合性」は全くないことが判明した。また、警察が示した接触状態ならば少年の頭部が左サイドミラーに衝突して負傷することからその負傷が存在しない結果少年と乗用車は接触していないとの結論を示した。

バイクと中型トラックの事故衝突

平成25年愛知県碧南市で発生した事故は交差点内で中型トラックに原付バイクが転倒して衝突した事故とされたが、損傷したバイクが保存されており痕跡の生成状態を詳しく調べるとバイクは転倒して衝突しておらず、向かってくる中型トラックを回避するような逆向きとなった状態時に衝突を受けたことを結論として示した。

交差点信号の特定

平成25年に東京都稲城市で発生した事故は、交差点先で駐車中の軽自動車が発進したときに後方から乗用車が衝突した。この事故では衝突状態の解明よりも事故地より数十メートル手前に信号交差点があり、衝突した乗用車が通過した時の信号に注目して信号種別を解明した。解明の方法は軽自動車の運転者が衝突時刻より数分前のレシートを持っておりそれに所要時間を加えることで衝突時刻が判明し、その時刻から信号位置まで遡及すると乗用車は赤信号で通過したことが明らかとなり、信号待ちで停車するならば事故は発生していないと結論を示した。

ゴルフカーから転落事故

平成23年千葉県のあるゴルフ場でゴルフカーが左へ旋回中に後部に乗車していた女性が転落した事故が発生した。転落要因を解明するために同じ転回場とゴルフカーで再現実験を繰り返した結果、運転者の高速発進による遠心力で振り落とされたことが明らかとなり結論を示した。

人体落下の労災事故鑑定

平成23年に山口県岩国市で大型トラックの上部から従業員がトラックスケールの鉄板面への転落事故が発生した。この従業員の雇用企業から調査および再現実験の依頼を受けて実地した結果、負傷したと申告する従業員の事故状態ならば即死もしくは重症を負う衝撃力を受けることが明らかとなり、従業員の軽傷状態に照らし合わせ偽装事故との結論を示した。

商業ビル地下への階段で転倒した事故を鑑定

平成23年福岡市天神のある商業ビルで、一階フロアーから地下への階段を下り始めた時に転落事故が発生した。この事故は雨天時に傘を差した老人が一階フロアーから地下へ転倒し負傷したのであるが、転倒要因を解明すると外側からフロアーに入るドアが内開きでありその開きで踊り場が約47%占有されて、さらにドアに開きロックがないために戻りを手で押さえる状態を押し入られたことでバランスを失い階下へ転倒したと結論を示した。

田園地の十字交差点での衝突事故鑑定

平成22年滋賀県高島市で発生した交通事故は、双方とも見通しが良い十字交差点で相対90度で軽トラックと乗用車が衝突し軽トラックの運転者が負傷した。この事故の論点は双方車両の衝突速度でありとりわけ乗用車の速度が注目された。鑑定では軽自動車の衝突後の回転動きと停車方向から乗用車の速度は約85km/hと結論を示した。

小型フェリー事故での鑑定

 平成19年2月に広島県尾道市で接岸中の小型フェリー(渡船)から軽自動車が海中へ転落した事故が発生した。この事故では運転席と助手席に男性2名が乗車しており、二人とも海底から海面(約10m)まで浮上したが、その後助手席の男性は死亡し、当初から、小型フェリーがわずかに離岸したことだけが原因とされていた。
 しかし、事故調査する中で海底に沈んだ車両の運転席側ドアはロックされ、助手席側のドアは開いていた実態から、二人とも助手席側から脱出したことが判明した。そうなると、先に浮上した運転者が助手席に着座した者を乗り越えて脱出しており、これにより海水を多量に飲み込んで溺死したことを解明し、助手席の男性が死亡した原因は運転者の脱出行動にあることが明らかとなった。この裁判で地裁は、小型フェリー運行会社だけの責任であったが、鑑定書を提出した高裁では運転者の責任も認めたのである。

 

 

鹿児島県奄美大島でバイクと軽ワゴン車の対面衝突事故

鹿児島県奄美大島の山間部道路カーブで、バイク対軽ワゴン車の対面衝突事故が発生しライダーは死亡した。この事故ではどちらがセンターラインを超えて衝突したかが論点であった。検察は「被疑者(軽ワゴン車の運転手)の過失を認定するに足りる十分な証拠がない」として不起訴にした。この処分に対してライダーの遺族は疑問を持ち鑑定を依頼し鑑定書や意見書を添えて検察審査会に異議を申し立てた結果、平成22年6月22日に名瀬検察審査会は「本件不起訴処分は不当である」との議決が行われた。