3月下旬、足利事件の菅谷さんに無罪判決が言い渡され、警察庁長官狙撃事件の15年の時効が完成した。くしくも、2件の事件が同じ時期に一定の結論を得たことが私には偶然と思えない。
 菅谷さんの自供を引き出すために、精度が疑われるDNA鑑定を利用し、また警察庁長官狙撃事件では被疑者の供述に翻弄された。いずれも「供述偏重主義」が罪なきものを17年半も拘束し、また前代未聞の警察庁長官狙撃事件が時効となった。
 私は長年交通事故を解明し鑑定を行なってきた。交通捜査や裁判でも供述が優先され、その信用性が論点となることが多いが、人の供述はその都度変転するのであり、まずは誰もが共通情報と認められる客観的な事実を優先すべきである。私の業務では先入観や固定観念を排除し「すべてをゼロの視点で観る」のが原点である。捜査、裁判において供述偏重主義を改め、すべてをゼロの視点で観ることを求めたい。