「STAP細胞」の論文不正問題で、5月8日理化学研究所は小保方晴子氏から求められていた再調査を行わない決定を示した。よって、論文に掲載された2件の画像の改ざんねつ造があったとの認定が確定した。
私はこの「STAP細胞」の論文問題に関して、「画像の提示」つまり証拠表示を行う事故鑑定の立場から意見を申し上げたい。まず、交通事故などでの鑑定では、その事故でしか生成されない痕跡は事故状態を物語る客観的な事実でそれを示す写真(画像)は重要な証拠であり、その提示は特段の注視力をもって対応し、よって画像を取り違えて示すことは皆無である。
ところで、小保方晴子氏の説明によると、論文に掲載した画像は「単なる取り違いによるミス」と説明して過失を強調している。しかし、論文で示されたマウスの筋肉の写真が博士論文からの転用だったことは認めているが、①もともと転用画像との認識がないならば、博士論文に転載した画像は一生に一度あるかで稀であり、その記憶度はかなり高い。よって「STAP細胞」の論文に掲載するときに気づくのが一般的である。まして、小保方晴子氏はそれらの画像の縮小やコントラストも変えており、一定の加工を加えているがそれならば画像に対する注視度もあり、その時点でも気づくのである。
一方、小保方晴子氏は記者会見で「極めて多忙ななかで差し替えを忘れたミスだ」などとして、悪意はないと説明している。②それならば、「STAP細胞」の論文に無関係な画像がなぜ貼り付けられたのか、貼り付ける行為は小保方晴子氏自身の人為的な動作であり、博士論文に転載した画像を選択したことに対する合理的な説明は示されていない。また、前記の釈明ならば、ネイチャーに提出する以前に別物の画像であることに気づいていたとも受け取れるが、ではいつ画像の違いに気づいたのか、も不明である。
さらに、ネイチャーに論文が掲載される2年前に、サイエンス(米科学誌)に投稿された同趣旨の論文が却下されているが、その時に「画像を切り貼り出した場合には線で区別するように」求められている。それならば、この時点で画像掲載への特段の注意力を持ったのであり、その後に「極めて多忙ななかで差し替えを忘れたミスだ」との説明は成り立たず、科学の名に値しないと指摘できる。
以上から、画像を示すことは証拠の提示と認識する私からこの件を見ると、論文に掲載された2件の画像に改ざんねつ造があったとの認定には妥当性があると言える。
ところで、小保方晴子氏は先般行われた記者会見で、「STAP細胞」の作成に200回成功しレシピや作成コツがあるとまで言っている。それならば、理研に再調査などを求めず、調査委員会や報道関係者の目前で実際に「STAP細胞」を作成すべきである。また、理化学研究所も適当なところでの幕引きは行わず、失われた信頼を取り戻すためにも全容を公開すべきである。