依頼者談
私達の大切な家族が交通事故に遭いました。その家族は、天気の良い昼間、見通しの良い道路を自転車を押して渡っている途中、右側から走って来た車と衝突して亡くなりました。どうして故人は亡くならなければならなかったのでしょうか?相手は、「出てくるとは思わなかった。」と話すだけで、止むを得ない出来事のように言われました。私達には、まるで故人が悪いから事故が起こったかのような言い分にとれました。

事故から3ヶ月が経ち加害者の保険会社の方が現れ、保険会社の言うことでは、直前横断により故人にも25%の過失があるということでした。私達は、なぜ故人に25%も過失があるのか疑問で、相手を許せない気持ちでいっぱいでした。故人は何も言えないので、故人の無念さを考えたときにどうすればいいのか判らなくなりました。

そんな折、職場の上司に弁護士を紹介していただきました。その弁護士と一緒にもう一度、当時の事を振り返ることにしました。やはり、加害者がきちんと前を見ていたなら事故は避けられていたであろう、人影を見た瞬間に速度を落としていたなら止まれたであろうという思いが強くてなりませんでした。しかし、私達は交通事故の専門家ではないので、どのような形で事故が起こったか正確に再現することはできません。

そこで、弁護士から鑑定機構を紹介していただきました。鑑定機構の綾田先生は、事故現場までかけつけてくださり、「中立公平で、残された痕跡から事故状況を明らかにしていきます。真実は一つです。周囲の人で事故状況、当初の事が判る人がいたら、もっと真実に近づく事ができます。」とおっしゃられました。そして、綾田先生による詳細な現場検証や付近への聞き取り調査などを基にした山岸先生の鑑定から、衝突時の推定速度が時速60kmを超えること、そして加害者が路側帯にいた故人を確認したのは実況見分調書よりかなり遠い地点であったということが判明しました。この鑑定を拠り所として、弁護士が保険会社と再交渉した結果、故人の過失割合を5%(加害者の著しい過失)にすることができました。

最愛の家族を亡くした悲しみはなかなか癒えることはありませんが、今回の交渉結果により、故人の無念が少しは晴れたように思います。そして、故人の思いを汲んでもらえた交渉結果が出たことで初めて、私達は視線を将来に向けることができるようになりました。綾田先生、山岸先生、本当にありがとうございました。
 
担当弁護士談
実況見分調書を基礎に鑑定する鑑定人が多いなか、「すべてをゼロの視点で見る」という理念のもと,自らの手で新たに現場検証をする鑑定人は少ないのではないでしょうか。先入観を排し事実だけを見ることは,鑑定だけでなく弁護士の業務においても極めて重要です。綾田先生・山岸先生の先入観を排し、あくまで真実を追求する真摯な姿勢に,当職も大いに触発されました。また,鑑定が必要となった際には,是非お願いしたいと思います。