平成19年2月に広島県尾道市で接岸中の小型フェリー(渡船)から軽自動車が海中へ転落した事故が発生した。この事故では運転席と助手席に男性2名が乗車しており、二人とも海底から海面(約10m)まで浮上したが、その後助手席の男性は死亡し、当初から、小型フェリーがわずかに離岸したことだけが原因とされていた。
 しかし、事故調査する中で海底に沈んだ車両の運転席側ドアはロックされ、助手席側のドアは開いていた実態から、二人とも助手席側から脱出したことが判明した。そうなると、先に浮上した運転者が助手席に着座した者を乗り越えて脱出しており、これにより海水を多量に飲み込んで溺死したことを解明し、助手席の男性が死亡した原因は運転者の脱出行動にあることが明らかとなった。この裁判で地裁は、小型フェリー運行会社だけの責任であったが、鑑定書を提出した高裁では運転者の責任も認めたのである。